…やがて。
見るに見かねたのか、先生はテーブルの下を覗き込むと………
「……紛らわしくてすみません。……僕は一歩さんが好きなんです。」
母上に向かって、ハッキリと……
そう告げた。
「……どうりで……うかれポンチだと思っていたわ。」
テーブルからのそのそと這い出して。
彼女は再び椅子に座ると……
「……先生の数学だけが点数をとれないのよ。それって……アナタのせいだったのかしら?」
ニコリとも笑わずに、先生と面と向かう。
「…母上、それは今に始まったことでは……」
「貴方は黙っていなさい!」
「…………!」
母上が声を荒げるのは極めて珍しいことで……。
私は思わず、黙り込む。
「確かに…僕の力不足です。ただ、今回の期末考査においては一歩さん自身頑張っていましたし、成績もぐんと伸びています。」
「………。来年には受験も控えているわ。恋にいちいち左右されるようでは困るの。」
「…………。ええ、その通りです。そうさせないようにしていくつもりです。」
「そもそも。なぜ…うちの子のかしら?恋愛経験は皆無だし、突拍子ないことしでかすし、あなたのような人が好きになるような相手とは思えないけど。」
母上……、貴方の娘ですよ…?
「面白半分で付き合ってるの……?」
「……母上っ……」
思わず立ち上がる私を……
「……お前はちょっと黙ってて。」
ニシハルが一刀両断。
「……先生……?」
「……真剣にお付き合いしたいんです。」
「………………。」


