正面から外へ出ると……
駐車場には、確かに赤い車が停まっていた。
「……裏側に行かなくちゃ…。」
マフラーで顔を隠して、見つからないようにと慎重に慎重に歩みを進めて行くと……。
「待てよ。」
何者かに肩を掴まれ、尋常じゃないくらいに…心臓が跳びはねる。
「………ふ…フクくん?」
息を切らしてやって来たのは……
フクくんだ。
「……何で急に帰るの?」
「……あ…。えっと…、用事を思い出して……。」
ああ……、時間がどんどんなくなっていくわ。
先生が……行ってしまう。
「……俺も今帰ろうと思ってたし、送ってくよ。」
「え。そんな…、悪いしいいです。」
「………てか、コレで終わりたくないんだよね。」
「………?!」
「ぶっちゃけ、気に入ったんだ。アンタのこと。」
「…………!!」
どどど、どうしましょう…、この状況。
無視して先生の元へ行く?
それも失礼に値するわ。
けれど初対面の方にこんなことを言われても…信憑性に欠けるというか……。
「嘘だと思ってる?」
フクくんは人と話す時…、
じっと目を見てくる。
疑う余地もないくらいに……、
真剣さを滲ませて。
「……じゃあせめて、連絡先だけ交換しよーよ。」
「……そ、それならば…。」
私は携帯を取り出して、互いに番号を交換する。
「……フクくんは…カッコイイお名前なんですね。『凛人』…。キリッとしていて…真っ直ぐなあなたにぴったりの名前。」
「………。ってか一歩はなんで『フクくん』て呼ぶの?マルモリ?」
「ルーツはそこから来てますが…、ウチの猫ちゃんの名前がフクくんなんです。目元がそっくりだったので…つい。」
「…………。猫か。猫ねえ…。」
「ウチのフクくんに負けないくらい、あなたも素敵な方だわ。」
「………!!」
「……では、私はこれで…。」
ちょっぴり照れ臭い台詞を言ってしまったわ。
…逃げるが勝ちよ!!


