教室のドアを開くと……。
「アラ、高津くん。おそようございます☆」
誰よりも先に、すました顔した三船が声を掛けてきたのだから………
きまりが悪い。
「………?何やら顔色が優れないわね?」
「………おそよう…。」
俺はロクに顔も見ずに挨拶を返すと………
そのまま、自分の席へと向かった。
「お帰り、高津。」
直ぐさま莉奈が駆け寄って来て……
にっこらかっこらしまりない顔で笑う。
それから。
「………ニシハル…どうだった?」
三船の方をチラ見しながら……
そっと耳打ちしてきた。
「……どうって……。……そっちは?見た限りでは…、アイツ至って普通通りだけど。」
莉奈はふふっと笑って……、
「…泣いてるどころか、あのコ笑ってたわ。」
思い出すかのようにして、視線を上へと向けた。
擬音してやろうか?
『ほわわわ~ん…』。
「…何でまた、そんなことになってた?」
「なんかネ、近頃乙女心が芽生えたのか……イケメンと顔を合わせるのが駄目みたい。」
「……は?」
「いっぽって今まで異性を意識したことなかったでしょう?それが急に恋なんてするもんだもん。今まで平気だったことが、どんどん出来なくなっていってるらしくて……それはもう、大変みたい。」
「へぇ~……。」
「…高津。あんたはやはり男にカウントされてないってことね。」
「(イラッ…)……で?あの部屋で、ニシハルとは何が……?」
「フツーに授業に『出ろ』『出ない』の攻防戦を繰り広げてただけだって。先生を避けてた理由を言ったらアッサリ引き下がったそうよ。」
「それ、何て言ったの?」
「『イケメンが追い掛けてきたから逃げた』って。つまり追い掛けなきゃ逃げないって話みたいよ?」
「……………。」
なんて……陳腐な。
「追われれば逃げたくもなるわね、確かに。化粧のノリ具合が悪かったら顔合わせたくないもん。」
「誰もお前を追い掛けないだろ?一緒にすんなよ。」


