…しょうがない人ね。
「…じゃあ…、俺、もう行くわ。」
……え?
「お前はまだここに隠れてろ。」
「……まだ…時間があるのでは?」
「…今は授業中だし、お前が出た後に鍵かけておくから。」
「…けど…」
「……2人でいる所、見られる訳にはいかないだろ。」
「それはそうですが……。」
「……少しぐらい察しろ。これ以上一緒にいたら…俺が色々マズいんだよ。」
「…………?」
「…我慢にも限界がある。」
「…………?」
「……まるでわかんないって顔だな。まあ…、お子様にはわかんないか。つーか、まだわからなくていいし。」
「…………?!」
「……じゃあ…、またな。」
………ドアの向こう側に
行ってしまった彼の…
その、温もりが……
まだ唇に残っていた。
信頼されることは……
思いの他嬉しくて。
私も………
信じたくなる。
いつか莉奈ちゃんと話したことがあった。
『彼が誠実な人ならば…』
……と。
多分……、そうなんだと思う。
私には、眩しいくらいに……
真っ直ぐで、
愛情深い。
私は……
ちゃんと彼に答えられているのかしら……。
好きになればなるほどに、
自分の自信のなさが……
露呈されていく。
「……契りを交わした今……、そのような弱気でどうするのだ?」
私は机をバンっと叩きつけて。
その場に立ち上がった。
「槙原殿!(※槇原敬〇氏のことです)…好きなものは……『好き』。それでいいのですね?!」
しん……
と静まり返った部屋に。
私の鼻息の音が………
響いていた。


