恋はいっぽから!





だとしたら……、



私は疑いたくなる。




ニシハルの、いっぽに対する気持ちを……。





「いっぽなら…、5組の教室を通り過ぎて行きましたよ。」



「…あのヤロー…。」





先生はじっといっぽが行ったであろうその廊下の先を見つめて…。




ふう~っとひと息ついた。



それから。


「……サンキュ。」




私の頭にポンっと手を置いて……






まるで風の如く……









あっという間に走り去って行った。








「……………。」






ポーカーフェイスが崩れた瞬間を……




垣間見た気がした。







余裕のないニシハルなんて、ニシハルらしくない。




それでも……






いっぽの想いを知っている私にとっては…



彼女の為に走るその姿は……





何よりも嬉しくもあった。






高津は今なにを思うのか……。




ただ黙って、複雑な表情を浮かべていた。







「……生徒想いってことかしら……?」





私なりのフォローのつもりだった。






「……。違うだろ。」





小さく返答したその声に……



覇気はなかった。