「高津……、今廊下走ってったのいっぽじゃなかった?」
「…それっぽかったな。」
「つーか、あのコどこに行くつもり?教室過ぎてるし。」
「………!…莉奈、ちょっと…、あっち見て。」
「……ん?」
教室のドアから、廊下を覗いた高津が…
私を手招きした。
「……?なに?」
高津の頭に手を置いて…
その上から、彼が指さす方向をじっと見つめる。
そこには………
ニシハルと……、泰人くんの姿。
「…………?」
全速力で廊下を駆け抜けて行った一歩。
ニシハルの腕を掴む…泰人くん。
「…………臭うわね。」
「……?!マジ?ワックス新しいのにしたのに…臭かった?」
「誰もアンタの頭皮の匂いの話をしてないわよ。」
「……ボケただけだよ。最近三船構ってくれないから。」
「あら。名コンビ解散の危機?」
「うるさいな。それだけ…、あいつにゆとりがないってことだろ。」
……なる程…。
正論かもしれない。
…近頃…いっぽの周囲は騒がしい。
今そこにいる二人も……、彼女を惑わす原因になっていることは確かだ。
「つーか、険悪ムードじゃね?」
「………。ねえ、そういやこの前泰人くんがウチのクラスに来た時も…あの二人、あんな感じじゃなかった?」
「……そういえば…?」
「…あの時は。泰人くんいっぽに会いに来てたのよね。」
「うん。」
「…………。」
それって。
今……
いっぽが走り去ったこの状況にも…
何か関係しているのかも……?
以前は…、他の生徒達も含めて、グラウンドで仲良く談笑する姿を…よく見かけた。
なのに。今では……、二人がサッカーをする姿を……見ることはない。
(注:それは…冬になったからです)


