数学の授業中。
私は一度も顔を上げることはなく……
ずっと……
下を見たまま。
聞こえてくるBGMも…
(注:ニシハルの声のこと)
私をメルヘンの国へは連れて行ってはくれない。
殺伐とした現実世界が……
ずっとそこにはあった。
「教科書の40ページ開いて。」
ただ、あるがままに……
従うだけ。
パラパラとページをめくって…。
「……あ……。」
先生が指定したそのページに、目を落とした瞬間……。
「…………っ。」
ぽとりと……
その上に、
涙が……こぼれた。
滲んだのは…、ボールペンで描かれた不思議な絵。
「…………。」
……もしかして……。
ある予感がして。
私は教科書を…くるりと横向きに変える。
「……ぷっ………。」
思わず……
ふきだしてしまった。
「……三船、どーした?」
「………なんでもないです。」
私は涙を拭いて。
それから……
先生の方を見た。
「お気になさらず。どうぞとっとと続けて下さいませ。」
「………?(イラッ)あっそう。」
この時……、
私を救ってくれたのは……
乱雑に描かれた奇妙な絵。
見る位置を変えると、きちんと意味のある絵へと変化するソレは……。
きっと、長南殿の粋な計らい。
崇拝する川島氏のネタを…
おそらく、長南殿なりにアレンジしたのであろう。
おかげで……
辛気臭くならずに済んだ。


