午後の授業をひとつ終えると……、
前の席の莉奈ちゃんが、くるりとこっちに振り返った。
「いっぽ、ニシハルに会えた?」
「………。策は失敗に終わりました。」
「……?あらら…、そりゃあ残念。」
「しかし、大きな収穫も……。」
「……??何、それはラブな話?」
「それに近い高揚感を味わってしまったわ。」
「………!うっそ!もしやニシハルと何か……?」
「いいえ。曹操軍に謀反が起きたのやもしれない。」
「……は?」
「……莉奈ちゃん、ごめんなさい。莉奈ちゃんという友がいながら……、もうひとり、同志ができたようです。」
「……えっ……。」
「魏軍の張コウです。」
「…………。ぎ…魏軍?」
「あ。間違えたわ。1組の長南くんです。」
「……チョーナン……。え。長南って……!泰人くんのこと?!」
「……はい。」
莉奈ちゃんは……、必要以上に驚いて見せた。
「……で、泰人くんが何故アンタと同志に…?てか、ニシハルに会いに行ったはずがなぜそんなことに?」
頬をピンクに染めて、彼女は私をゆさゆさと揺らした。
「……なぜってそれは……。」
……なぜかしら……?
「成り行きです。(キッパリ)」
「……いっぽ……。」
莉奈ちゃんが……
肩を震わせている。
そうだわ。
敵兵と親しくなるだなんて、私の方こそ、裏切……
「………でかした!」
「……?!えっ。」
「サッカー部の長南泰人って言ったらアンタ、中学時代に高津の応援に行った時に見つけた…超イケメンじゃん!」
「え。」
「そのモテぶりったら凄いんだから!昼休みにグランド周りを女子が占拠してるでしょ?あれって、ニシハル目当ての子と、泰人くん目当ての子の集団なのよ。」
「………。長南殿が…?」


