恋はいっぽから!

でも…、現実、そうも言ってられない。



「三船一歩!」



「……………。」



「……おい。……三船ッ!」



バシッ。


「……ん?『バシッ』?」




ゆっくりと目を開けたのは良いが……


如何せん、まだ寝ぼけている。


「………あれ。浮輪は?」



……浮輪って……。


どれだけ浮かれてるんだ。










彼女の顔をじっと見つめると。



まだ眠いのか、目がとろんとしていて……



けれどそれが、妙に色っぽい。







「バカンス中悪いけど、授業終わったら職員室に来い。」




自分でそう言って……、


ハッとする。






何をうっかり……誘いに乗っているのだ、と。





けれど彼女は奇人変人。




俺の言葉に臆することなく……、




「……。まだ5分しか泳いでいません。」




期待通りの、的外れな返事。





うわ……、


普通にヨダレ垂れてるし。




「おまえ…。まずそのヨダレを拭け。5秒でも目ェつむればアウトなんだよ。」


さっき一瞬でも目を奪われたのはなんだったのか…。


仕方なく、彼女にハンカチを手渡す。




「…………!?」



…顔を……拭いている?!




「テメ……。」




「…ありがとうございます。……ハイどうぞ、お返しします。」




しわくちゃになったハンカチ。



少々苛ついたのも…嘘じゃない。




半ば諦めて…、
渋々と、それをポケットにしまった。







「ニシハル紳士~!」



「……はあ?!」




……どこが。





三船は辺りをぐるっと見渡すと……、ようやくいつものキリっとした顔つきに戻る。



目……、覚めんの遅せーよ。





「ようやくわかりました。ここは学校ですね。なのに……、おかしいですね。何故先生のハンカチから煙草の匂いがするのでしょう?敷地内全面禁煙のはずです。」



「…………。」




そして……




可愛くない。