「……もしかして…、ハルに告白でもされた?」
「…………。」
ええ……と、
思わぬ展開に……
ついていけないけれど…?
「……卒業だもんなー。ハルにしちゃあ、ちゃんと我慢して偉かった。どーりでまだ帰らないハズだ~。早く返事してやれよ?」
「え。……て、ことは……。」
「うん、中にいる。…ハハ、なる程……。お前がハルが言ってた『本気で好きな女』か…。そりゃあ一筋縄ではいかなかっただろうな。」
「…『本気で好きな女』…?」
「ああ。他の女に目がいかないくらいにね。…おっと、これ以上言うとシバかれるかな?でも…、お前から見たら俺ら先生なんてオッサンかもしれないけど、きっとお前が思ってる程…、あいつは大人じゃない。俺にバレるくらいだしね~。」
「…………。」
「あっちが本気な以上、お前も本気で答えてやれよ?」
「………はい。」
「…あ、あと……。ソコはもうハルしかいないから……。遠慮なくどーぞ?」
「………!」
「大丈夫、誰にも言わないよ。」
「寺澤先生……。」
「卒業祝いってことで。じゃあ…、俺は行くね。……頑張って。」
「……はい。ありがとうございます!」
手をひらつかせながら……
寺澤先生は去っていく。
その背中が、見えなくなると……、
私は………
壁に張り付いたまま、そっと……
顔だけを…覗かせる。
「……………。」
ニシハルは、こちらに背中を向けるようにして……
デスクへと座っていた。
癖のある黒い髪が…少し伸びていて。
襟足が…くるりとなっている。
さっきまでもモヤモヤした気持ちとか、
動悸だとか……、
その背中を見た瞬間に…一気にどこかへ吹っ飛んでしまうのだから、
本当…、変な話だ。
しっくりと…来るのだ。
この場所が、ではない。
貴方がいるこの空間だからこそ……
私の気持ちに…ぴったりと沿うのだ。
入口の前に……立つ。
できるなら、
その背中に飛び込みたいけれど………
貴方を知った分だけ、
あの頃みたいに無鉄砲には……
飛び込めない。


