「逮捕とかって、酷いなあ、もう。」
莉奈ちゃんはツカツカと私の所へとやって来て。
マイクを…奪いとる。
「この歌は高津の定番モノマネっしょ~?!チェンジチェンジ☆」
「…えっ…。」
「マジクオリティー高いんだから。ねえっ、高津?」
「…はあ?」
マイクを渡された高津くんは…、明らかに困っているように見てとれるけど……?
「大丈夫だって。『セ〇リ』はよく歌ってたじゃん。いーから…早く場を盛り上げてくれないかしら……?」
(注:高津もモノマネは十八番です)
莉奈ちゃんの顔が……
怖いわ。
「…は、ハイ。」
引きつりながらも、彼はマイクを握り締めると…
すぅっと息を吸って……!
『ぅいつでもぉ~さ~が~してるよぉ~…♪』
…………!!!
マジ……、……パネエ…!!!
「………。いっぽ、ちょっといいかなぁ?」
莉奈ちゃんが…そっと耳打ちしてくる。
「……え。でも高津くんのモノマネ……。」
「あんなん見たいと思えばまた見れるんだから。けど…、そうもいかないものも…あるでしょ。」
「………?」
『奇跡が~〇〇〇起こるなら~……♪』
「……とにかく…、来て。」
彼女は私の腕を掴むと…。
有無も言わせずにぐいぐいと部屋の外へと連れ出す。
『♪…言えなかった「好き」という…』
流れる歌声が…。
扉が閉まると同時に、ピタリと…途切れた。
ガラスから、微かに見えたのは。
薄暗い部屋の中から、オオサカが…手を振っている姿。
莉奈ちゃんは無言のまま……。
フロントの前まで…やって来た。
「……。あの……」
「大境さんから…聞いたよ。」
彼女は、早口で…話し始める。
「……何をですか?」
「偉く落ち込んでるからなんとかしてって言われたんだけど。」
「……?ピンピンしていますが。」
「……まあ確かに一見元気そうにも見えるわね。でも、私達にまで…そんな強がんなくていいじゃない?」
………!


