俺はまた、ノートを巡り始める。
「……あいつは…すごい。鈍感な癖に、たまにドンっと的をついてくるよな。なんつーか、このノート見てると…あいつのそーゆー真っ直ぐすぎる所が痛いっていうか…、的をつかれて怖いっつーか……。変な気持ちになる。」
「………。」
「たまに、ぶち壊したくもなる。理性吹っ飛ばして……、奪いたくなる。体裁とか、あいつの将来とか、何もかも…考えないでさ。」
「……………。」
ページをめくる手を……、
ピタリと止める。
開いたページに…。
見慣れた達筆文字が……
こともあろうに、筆文字ででかでかと…
書かれていたのだから。
「……。アンタさぁ…、それ見て、何か思わねーの?」
「…………。」
「あいつだって…、一歩だって、ギリギリの所で……我慢してんだよ。」
「………。」
「もう別れたからって割り切って書いたのかもしれない。あくまで『先生』に対する思いで書いたのかもしれない。実際俺らに見られたって、全然平気だったし。」
「…………。」
「……でも…気づけよ。気づいてやれよ。ここぞって時にヘマやらかすあいつのことだ。不器用すぎて、感情ダダもれじゃん。」
「…………。」
彼女が記した最後のメッセージ。
ひと目で読んでとれるのに、俺は確認するかのように、ひと文字ひと文字なぞるようにして……
辿っていく。


