恋はいっぽから!









私は顔を上げて……



教壇に立つ彼の方を見る。






一瞬……、




ニシハルの視線と重なって。



けれどすぐに……逸らされてしまう。







口元には優しい笑みを浮かべて、



それとほぼ同時に…




「……日直、…号令!」






最後の指示が放たれる。






「……起立っ!」




最後の日直、長南殿の規律ある号令がかかって。




ガタ、ガタ…と、皆椅子から立ち上がる。






張り詰める…空気。


一瞬の静けさを保ったのちに……



「………ありがとうございましたッ!!」




いつもとは違う…号令の声。


「………!…ありがとうございましたッ!!」




彼に習って、みんな声を張り上げて………




深く、深く、頭を下げる。







「………ありがとう。」




そう言ったニシハルの瞳は……、少しだけ赤くなっていた。







途端に、



泣き崩れる者に……



彼の元へと駆けよる者、



緊張感から放たれたかのように、歓喜の声を上げる者……と、それぞれがそれぞれに……



卒業の瞬間を味わいはじめた。






ニシハルは泣いている女子生徒を宥めるかのように何度も頭を撫でて……、


かと思えば、男子にせがまれて一緒に写真へと写ったりと…



最後まで相変わらずの…人気ぶり。



私は席について…そんな彼を、じっと…見つめていた。





「アンタは行かんの?あの男んとこ。」


「…私は……、いいんです。もうちゃんと、お別れできましたから。」


入りこむ隙は…ナイわ。



「…そう?」


「はい。それより…、オオサカ。卒業パーティーではデュエットしましょうね♪」


「………。やっぱり麦畑が定番やろ。」


「…オラこ〇な村~いやだ~♪……て、嫌だわ、オオサカったら。本日は卒業特集にいたしましょう☆」



「……この支配〇〇の、卒業~♪……ってか?」



「いいですねぇ…☆でも…、GReeee〇さんも捨て難いわ。そうだ、オオサカ。皆さんで横一列に歩いて、かの有名な映画のエンディングを再現致しません?わたくしはやはり市原くんポジションかしら…(ニヤリ)」



「ほいじゃ~ウチは城田くんやな。(ニンマリ)」




(注:彼女達は、映画「ROOKIES~卒業~」の話をしています)