氷の蝶

小鳥遊に、椅子に導かれ座る。


「手出せ」


「いえ、自分でできるので」


一応断る。

だがやはり、それを許してくれるはずもなく笑顔でハッキリ「出せ」と言われる。

渋々手を小鳥遊に差し出す。


「緋月って、手小さいな。」


え、嫌味ですか?

少しムカッとくる。

小さくて悪かったな。

何も返事しない私をちらりと見上げ、少し苦笑いする小鳥遊。


「前にあった時と、あまり変わらないのな」


………………………………………………ん?

今なんか爆弾を落とさなかったか?

『前あった時』?

え…会ったことあったっけ?

全然覚えてない。

もしや人違い?


「人違いでは?」


一応聞いてみる。