「よろしく」と一言、言おうとして口を開く。

そのまえに、三矢君が口を開いた。


「僕ね、三矢 悠斗っていうんだっ!あれ…これさっきも言ったよね…?んー、まぁいいかー!ねぇ君の名前は?………ていうか君、今日の朝昇降口の前にいた子じゃん!えっと確か…香宮さん…だっけ?同級生だったんだー!うれしいなー!君と一緒なんて!でも同級生で、さん付けは変だよね!じゃあ、緋月ちゃんって呼んでもいい?」


…………どこに息を付く暇があったんだろう…………?

一番最初に思ったことはそれだった…。

えっと…質問は、“緋月ちゃんって呼んでいい”だよね?

うん別にいいよね…

自分の中で、三矢の言ったことを整理しながら返事をする。


「別にいい」


私は、喋るのがあまり得意ではないから極力長文は、喋らないようにしている。

最もそのおかげで、“クールビューティー”という名が冠せられるのだが…緋月本人は知らない。

その反応を見て、三矢がヒューと口笛を吹く真似をした。


「さすがクールビューティー!これからよろしくね!」


可愛らしい笑顔でこちらを見る三矢君。

うん…すごく可愛い。