氷の蝶

ミルクティー…じゃなくて、一ノ瀬が一歩下がったところで入れ替わるように前に出たのは、オレンジのメッシュの人だ。

黒板には、【三矢 悠斗】と書いてある。


「僕はね、三矢 悠斗(ミヤ ユウト)!好きなものは、甘いお菓子と辛いお菓子!嫌いなものは…気持ち悪いもの!スポーツも好きだよっ!皆、これからよろしくねっ!」


元気に挨拶する、三矢…?…三矢君の方がしっくりくるな。

またもや起こる拍手。

スポーツが好きだと聞いて、男子が嬉しそうだ。

でも三矢君、可愛いなー。

女子だけじゃなく、男子にも人気が出るだろなー。

最後に残ったのは、黒髪のやつだ。

黒髪は、前には出ずにニコッと笑った。

その瞬間、私はザッと鳥肌が立って気分が悪くなった。あの笑い…気持ち悪い。

顔をしかめる。

そんな私に気づいたのか分からないが、ふと黒髪がこちらを見た。

とっさに目を逸らす。

あっ…目をそらしちゃった。

慌てて、目線を戻すが黒髪はもうこちらを向いていなかった。