一つ短所と言うものがあるのなら、それは翼だろう。
「ふぃ~~……あ~、腕が疲れた~久々に飛んだからかな…」
『手が翼になるから、腕が疲れるし、なにも持てない』ということ。
授業中は勿論、鉛筆を持って字を書く。なんて作業はできなくて。
化ける必要があるから、疲れてしまう。
私は自分の手を見て、猫の手じゃなくてよかった……と思いながら、手を握ったり開いたりした。
……ホント、よかった。
「どっりゃぁぁっ! 気合だぁぁっ!」
野太い声に、私は自分の世界から現実に引き戻される。
ドアの方を見れば、机を持ち上げてるデカイ男が一人。
馬鹿なことをやってるな……と思いながら、私はそれを見学してみる。
あの机持ち上げてる男子、確か熊山タケトシ……熊の獣人じゃなかったっけ?
馬鹿みたいな怪力の持ち主とか何とか……。


