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「ぎど~~ッ! ぎのうね、ぐろいわぐんがね」
涙ビショビショのミナミに抱きつかれた私。
さりげなく私の制服で涙を拭こうとしているミナミの頭を叩く。
「……どうしたの」
「な、なんで叩くのーっ? え、えっとね、昨日ね、黒岩くんがニヤッて笑ってね『手伝え』って言ってね……」
「フムフム。ソレハ、トテモタイヘンデシタネー」
私は棒読みでミナミを軽く慰めてから、スタスタと校舎に向かう。
後ろからミナミの泣き声が聞こえて、私はピタリと立ち止まる。
振りかえれば、うさぎさんの近くにはもう男子が集まっている。
今は犬井は居ないようで、私は心の中で舌打ちをする。
全く。肝心な時に居ないなんて、運の悪い奴だ。


