「ははっ! ばっかじゃねーの、お前……どんな思考回路してんだ」
少し落ち着いた黒岩の言葉に、私は首を傾げる。
……絶対褒めてない。
それだけは分かる。けど、別に普通の思考回路だ。
「……ミナミに精神的に半殺しにさせられたら、プライドが許さないなと思った」
「プッ……俺の方が友達よりマシって言われたの、初めてだぞ」
「だろーね」
でも、その初めてで何か景品がもらえるわけでもあるまい。
そう判断した私は、黒岩の肩をポンとたたく。
「じゃ、ミナミは教室だから。よろしく言っといて」
と、黒岩に生贄を差し出した私は、素早く靴を履きかえると校舎から逃げて行った。
ミナミ、ドンマイ。私の犠牲になれ。


