「……なにしてるの、猫宮さん」
無表情で今更『猫宮さん』とか言われても、寒気しか感じない。
鳥肌が立つよ、猫だけどっ!
「…………行く」
もう、仕方が無い。覚悟を決めて、猛獣の待つ牢屋の中に入るしかない。
頭痛はきっと気のせいじゃない。
ミナミの飛びつきが、まだ優しく感じてしまう。
というか、そっちがいい。
たとえミナミに飛びつかれて、大怪我したとしても。
半殺しにされたとしても……。
…………ミナミに、半殺しにされる……大怪我させられる……。
職員室を出てから、黒岩は私を見て眉を寄せた。
「なんだ、その険しい顔」


