隣で立っている黒岩は、仕返しだと言わんばかりにニヤリと笑う。
私はそれに気が付かないふりをして、猿楽先生に言う。
「嫌です! 全力で断ります!」
猿楽先生は私の様子を見て笑う。
何が可笑しいの!
「青春だな~。そんなに照れなくても、良いんだぞ?」
「照れてません。バナナ先生、目が腐ってるんじゃないですか」
私が猫も被らずにズバズバ言ってるのを、気にしていない様子の先生。
……ちょっと。
このままだと、掃除してる時に何かされるかもしれないんだけど。
どうしてこの猿楽先生は、空気読めないのかなぁ……。
「じゃ、コレがカギな」
「ありがとうございます、先生」
無表情で受け取って、黒岩はドアに向かって歩いて行く。


