油断も隙もあったもんじゃない。 「……じゃあ、私もう帰る」 「えっ!? なんでぇーっ?」 ミナミの言葉を私は無視して、鞄を持ってスタスタと歩く。 ところが、それを校内放送が邪魔をした。 ―― ピンポン、パンポン……ブツッ マイクを調整しているのか、ガサガサと音が聞こえる。 「あー、あー……ゴホン。猫宮キトくん。至急、職員室に来るように」 ……しきゅう、しょくいんしつ…… 猿楽先生の仕業? それとも……黒岩? 後者でないことを祈りながら、私は渋々職員室に向かった。