それも気にならない様子で、ミナミは目を輝かせて言った。
「二重人格――……なんだって!」
「うっ――……! ゴホッゴホッ……」
食べていた干物を喉に詰まらせた私は、持っていた牛乳を喉に通した。
……動揺してしまった。
ミナミには、毎回驚かされる。
「きっ、キト、大丈夫? どうしたの?」
ミナミの質問に、私はふぅ……と息を吐いてから言う。
「黒岩が二重人格だという噂を知らない人がいるとは……思わなかった」
「えぇっ、そ、そっち!? 普通『黒岩くん、二重人格だったの!』で驚くでしょ?」
「全然」
ミナミの質問に即答で否定して、私は再び干物を食べ始める。
その態度が気に食わなかったのか、ミナミはプクーッと頬を膨らませた。


