「冷たくて結構! ほら、君! 人間だろう?」
猿楽先生が必死に追い出そうとする中、お兄ちゃんは笑顔で言った。
「いえ? 人間じゃないですよ」
………………は?
私は口をあんぐりと開ける。
周りの男子女子、先生も口をあんぐり開けて。
その顔が間抜けだったのか、お兄ちゃんが「ぷっ」と吹き出した。
いやいや、笑う所じゃないでしょ。
「あはは、人間じゃないですよ~。妹からは『異常生物』って呼ばれたことありますから」
お兄ちゃんの言葉に、私は眉を寄せた。
「……それ、幼稚園の頃の話でしょ?」
どれだけ大昔の話を、持ち出してきたんだろう。


