私はその笑顔よりも、小声が聞こえたということに眉を寄せた。
動物か! と、突っ込みなくなる。
猿楽先生は、困ったように顔を赤くさせた。
……熊山、空気読んでね。先生の顔見て、笑うとかホント止めてね。
「この男は、猫宮のお兄さん…なん、だな?」
「あ、はい」
「人間…か?」
私はその質問に、目をスーッと横に逸らした。
そう言えば、この学校……人間は入っちゃいけないんだっけ。
しばらく目を泳がせてから、ニコリと笑って首を傾げた。
「……良いですよね?」
「だ、ダメに決まっているだろぉーう! 笑ってもダメ! 可愛い猫だからって、許されると思うなー!」
今度は完璧な満面の笑みを作って、ニコッと笑いながら棒読みで言った。
「先生つめたーい」


