私が呆れていると、お兄ちゃんがお腹を抱えて大笑い。
「プッ…アハハハッ！ に、ニンジン色……ハハハッ」
思い出した。
お兄ちゃんは、よく笑う人だった。
喧嘩してても笑う。食べてても笑う。私が喋っても笑う。
だから、彼女出来ないんだな……と、昔に納得した覚えがある。
「う、だって……キトがぁ」
「え？ シラナイ」
ニッコリと笑って、上手くかわす。
うーん。そう、なのかなぁ？ とか言ってるミナミを見て、お兄ちゃんは笑いを堪えた。
今笑わなかっただけ、良しとしよう。
「はー、つかれた……うん、彼氏のフリ、引き受けるよ。後の処理は任せた」
お兄ちゃんの、面白がっているような瞳に気が付かないミナミは、目を輝かせて何度もお礼を言った。
