その時、私の手を遮って、ミナミの手を取る誰か。
私は一瞬固まって、その誰かを見た。
「いや~、まさかとは思ったけど、キトか。煮干し好きだな~」
気まぐれで、猫みたいな……
「……お、お兄ちゃん…」
「えええっ!? お、おにーちゃんっ?」
ミナミは目を丸くして、私のお兄ちゃんを上から下まで舐めるように見た。
……真剣すぎるよ。
とりあえず、私が迎えに来たのはお兄ちゃんで。
『久しぶりに帰るからな~』という一言で、電話をブツッと切ったお兄ちゃん。
このお兄ちゃんなら、ミナミの彼氏の設定にピッタリだ。
猫みたいだし。
うん。熊山とか獣王よりも、断然いい。


