その私を追いかけるミナミは、素早かった。
ぴょーーんっと、何もかもを跳んで乗り越え、私の所に来たのだ。
ガシッと腕を掴まれる。
「うぅ~……」
涙目で訴えてくるミナミを見て、私は観念したように溜息を吐いた。
「…………だって、今日は――……無理なの。今日“は”」
「……へ? 今日“は”?」
私はコクリと頷いた。
「今日は…暇だから迎えに行く」
今日は、私と負けないくらい気まぐれで、気分屋で、自由な人が帰ってくる。
ちょっとだけ、迎えに行こうかと思っていた。
「お父さんとか?」
「……まあ、そんなとこ」


