「ち、違くて! そういう意味じゃなくて! うぅ…お父さんのこと、どうしよう……」
仲直りしたいのか……親思いだなぁ。
私なんて、しばらく放って置くのに。
お父さんから「ご、ごめんな?」とか言ってくるから。
「……とにかく、私に男装を望まないでね」
「だ、だって……『猫みたいな人なんだーキト』って、言っちゃったし……」
間違ってないよ。
でもさ……それって、犬井じゃ駄目だよね?
熊山も猫みたいじゃない。パス。
獣王は……ダメダメ。あいつ目つき悪いから、パス。
黒岩は、猫とは違う感じだし。絶対煮干し嫌いな顔してる。だからパス。
「…………わたし、かえる」
私はクルリと回れ右をして、校門を潜り抜け歩道を走った。


