馬鹿かっ!


屋上に着いて開口一番「男装して!」って……馬鹿かっ!


意味が分からないし、第一そんな趣味は無い。


「だってぇ~~! お父さんがね……」


ミナミは非常に言いにくそうに、目線を下にスーッと下げて、もごもごとゆっくりいう。


「あのね…お父さんにね『今度キトを紹介するね!』って言ったら、彼氏と勘違いされて……」


お父さん、馬鹿かっ!


なんで、そこで彼氏につながる……。


「彼氏を紹介するまで、なんか……一生、部屋に閉じこもるって言ったきり、話してない」


それは、なんと勝手な大黒柱だ。


「キトって名前が、男の子っぽかったから、勘違いしたのかな?」


「……ごめんね、男っぽくて」