なんだ。美味しいのに。


「……それより、ミナミは人参たくさんだね」


「うん♪ だ~い好きなの! 誕生日プレゼントにね、すっごい高級な人参をもらったんだ!」


笑顔でそう言うミナミに、周りの男子は顔を赤くさせた。


勿論、犬井もその一人だ。


熊山とかは例外で、お弁当箱をウキウキと開けている。


「しゃーけっ♪ しゃーけっ♪ 鮭だっぜ~♪」


「しゃ……鮭?」


私は眉を寄せて、熊山を見た。


熊山のお弁当箱には、鮭……普通に鮭があった。


丸々、一匹分。


私とミナミ……その他教室に居た人たちは、目を点にさせた。