名前は忘れたけど、とりあえず鹿の獣人。
けど女だからツノが無い。という、なんとも残念な感じ。
“お”から始まるはずだったけど……あれ、本当になんだっけ。
「随分嫌われてるみたいね?」
「……お、…オカリナさん?」
私の言葉に、教室がシンと静まり返る。
オカリナさんは顔を赤くさせて、口をパクパクとさせた。
「な、なっ……! お、オカリナじゃなくてよ! ワタクシの事も知らないなんて…よ、よほどの世間知らずなのね!」
悔しさと恥ずかしさが混じったような瞳で、私を見ながら言う。
私はニコッと笑って見せた。
「そうかな」
「そうよ! 私は大鹿ユカナ。覚えて頂戴!」


