「……時間、大丈夫か」
熊山付近に居た男子一同は、体を固まらせて時計を見た。
「やっべぇ―――!」
「急げ! 次は数学だ! 一分でも遅れたら難問だぞ!」
「熊山、お前なに準備万端なんだよ!」
見れば、熊山は準備万端で座っている。
男子たちの攻めるような視線に、鈍感で気が付かない熊山は笑って言った。
「お前らが黙ってる時に――……」
「熊山、てめ……! 地獄に堕ちろ!」
ぎゃあぎゃあ煩い教室。
女子たちは迷惑そうに眉を寄せて、「男子バカー」などと言っている。
私は割とどうでもよくて。同じどうでもいい組に入る、獣王の不機嫌っぷりを見て、溜息を吐いた。
ハチャメチャだなぁ……なんて思いながら、私は大きな欠伸をした。


