周りがビビる中、熊山だけはケロッとした様子で笑いかける。
「お? おぉー、獣王! これ、お前の机か。わりぃな。ところで、お前さ――……」
「どうでもいいから、早く戻せ」
長々と話しはじめようとする熊山に、痺れを切らしたように獣王が言った。
熊山は反省したような様子も見せず、ニカッと笑って机を戻した。
……さすが、要注意人物。鈍感すぎる。
獣王は獣王で、すごい鋭い目つきをしている。
おお怖い。なんて思って見てると、その目線に気が付いたらしい獣王が私を見た。
ギロリ。と、突き刺されるんじゃないか。ってぐらいの鋭い瞳に、私は何事も無かったようにスーッと目を逸らした。
「獣王、これでいいか?」
「……あぁ」
獣王から漂う不機嫌オーラに、クラスメイト達はビクビク震える。
分からなくもない。だって、話しかけたら殺されそうなオーラだもん。


