『あ…出た…。』


「?」

電話の向こう側からは、いつもより

明らかに元気が無い声の優杏。


『あ、碧真…奏乃、出た…けど。』

あれ?優杏、これからライブなのに…

碧真君のこと、名前で呼んで良いの?


『落ち着け、携帯貸せ。』

あ、碧真君の声も聞こえる。


『奏乃?聞こえるか?』


「あ、うん。」

どうした?


『あんさ…

ちょっと会場の外に来てくんね?』


「外?」


『あぁ。今、中だろ?』


「まぁ…うん。

って、開演まであと30分だよ?」


『分かってる。だから、早く。』

おいおい…(汗)。


『じゃあ、外で。』


《ブツッ》

……………………行くか。


私は会場の外に出た。