跪いて、Kiss -episode 0-

“この人には逆らっちゃいけない”



なんとなくそんな風に思ってしまったあたしは、相変わらず偉そうにアイスコーヒー片手にスマホの画面をスクロールさせる彼の横顔をチラチラと見た。



「……なに?」



「いえ。別に…」



「じゃ、見んな」



「………はい」



若干イラッとしながらも、やっぱり逆らえないあたしは、座ったままソファーの端に移動すると、膝の上にバッグを置いた。