「緑涼とかいったな、おぬし。」


凛香は、腕を押さえながら必死に起き上がろうとする緑涼に声をかける。


「んだ・・・。」

「言っておくが、正嗣はおぬしたちが思うような人間ではない。私たちの声をしっかり聞いて受け止めてくれる、数少ない優しい人間じゃ。殺すと、他の妖怪たちが黙っておらんぞ。正嗣は、多くの妖怪たちを助けてきたからのう。」


ニコッと笑いながら、正嗣のいる方向に顔を向ける凛香。正嗣は、少しホッとした表情のまま、腰が抜けたかのように、ふらふらになりながらしゃがみこんでしまった。