そこは深い海だった。 光などなく、真っ暗闇だった。 それでも、不思議と怖いとは思わなかった。 シーンと静まりかえり、ゆったりと心地よくて、無性に落ち着けた。 ふいに止まっていた時間が動き始めた。 「ウソツキ」 最初は遠くの小さな声だった。 それが、少しずつ大きくなっていった。 「ウソツキ」 「ウソツキ」 「ウソツキ」 「やめて、私は嘘つきじゃない」