私は親父の胸を叩いた。

親父は私の手をつかむと膝をつき、懺悔するように私の手を顔の前で包み込んだ。



私はそっと席をあいかに譲った。


「お父さん、わたしね、わたしね・・」

「あ、あいか、なのか」



「お父さん、ごめんなさい、ごめんなさい」

「そんなことない。バカなお父さんでごめんな。娘にこんなに辛い思いをさせちゃって、ごめんな」


しゃがんだまま、親父はあいかを抱きしめた。

そして、あいかの両肩を手で持つと、真っ直ぐにあいかの黒い大きな瞳を見つめた。



親父の目には今にもあふれんばかりの涙が光っていた。


「これからもお父さんの娘でいてくれるか?」



あいかは込み上げてくる気持ちを押さえきれず、しゃくりあげながら、大きく頷いた。