「そう思ってたんだけどな。あいかに本当のお父さんじゃないって言われて、否定できなかった」
「なによ。あいかだって、そんな風には言ってなかったでしょ」
「まあ、わかっちゃいたんだ。達哉の妹さんを見たときにそう感じていた。妹さん、あいかにそっくりだったもんな」
「でも・・」
「いや、おまえがいなくなったら、立川に行こうって思ってる。やっぱり本当の家族といっしょに暮らした方がいいだろ」
「バカじゃないの。親父、あんまりだよ。そんなこと考えてたの。それって非道いよ。あいかを捨てるつもりだったの？」
「仕方ないじゃないか。俺とは血がつながってないんだから」
「だからって、今までいっしょに暮らしてきたんだよ。あいかには、親父しかいないんだよ」
「でも、どうして俺なんだ？」
「愛子を愛してたんでしょ。あいかのことを愛してるんでしょ」
「あいかを愛してる？」
「そう」
「あいかを・・愛してもいいのかな」
「なに言ってるの」
「迷惑なんじゃないかな」
「バカ・・」
