そこは深い海だった。 光などない真っ暗闇だった。 ゆったりと潮が流れ、シーンと静まりかえっていた。 静寂を破るように遠くから声が聞こえてきた。 「あいこ、愛子、・・」 私を呼んでる? 手足に感覚が戻り、思い出したように激痛が私を襲った。 「た・すけて・・」 目を開けると、そこには小田くんがいた。 キミは助けて欲しいときに、いつでもそばにいるんだね。 私は握られた手を握り返した。