『愛子ちゃん』
その時、私の中で声が響いた。
哀哉の声だ。
その声を聞いた途端、身体中を嫌悪感が駆け巡った。
「い、いやっぁ、出てって」
私は思わず叫んでいた。
『愛子ちゃん、ちょっと待てよ』
人を諭すような言い回し。
私は怒りで身体が震えた。
「人殺し。人殺し、人殺し」
『なにを言うんだ。誰が見たって殺したのは愛子ちゃんじゃないか』
「非道い・・」
許せなかった。
でも、私にはどうすることもできなかった。
『達哉が悪いんだ』
哀哉の言い訳など私は聞きたくなかった。
「うるさい。出てけ」
『そんなこと言わないで』
「あーぁ、うるさい。なんか、ひどい耳鳴り」
私は哀哉のことを無視した。


