「くそっ、」 私の口から声がもれた。 違う。それは私の言葉じゃない。 金縛りにあっていた私の身体は次第に開放されていった。 まるでリアルな長い夢から覚めたような心持ちだった。 でも、目の前には夢とはほど遠い残酷な現実が、血まみれになって横たわっていた。 どんなに否定しても、達哉が殺されたのは紛れもない事実だった。 私はその場にしゃがみ込んだ。 (私じゃない。私が殺したんじゃない) しかし、ぴくりとも動かない達哉以外、その部屋には誰もいなかった。