私は哀哉の言い回しに引っかかった。

「本気だとでも言うつもり?」

「バカな、そんなわけねぇだろ」

そう言いながら、泳ぐ哀哉の目に翳りが見えた。


(えっ、何か隠してる?)

それは直感だった。


 
達哉との出会いは学生時代のこと。

私はキャッツ・クレイドルという名のカフェで、お昼だけウェイトレスをしていた。

達哉はそこの客だった。



最初の印象はあまり無い。

それが、いつからか親しくなり、あの日、告白されたんだった。



「キャッツ・クレイドルの意味を覚えてる?あの日、私が教えてあげたんだよ」


最近、私を不安に陥れた疑問を哀哉にぶつけた。


「なんだよ、唐突に。『あやとり』だろ。どうかしたのか」

 やっぱり。



「この間、達哉に聞いたら、覚えてなかったの」

「それ、ホントに達哉だったか?」


今更、達哉をかばったって、遅いのよ。