「それなら、俺も娘にそろそろ昔話をしようと思っていたところだ」

「親子の仲がよろしくて、なによりです。新しくお母さんになる方にも昔話をして差し上げるとよろしいですよ」


「新しくお母さん?」

「そんな、とぼけなくたっていいじゃないですか。知ってるんですよ。今だって、そこからの帰りじゃないですか」


憎しみが頂点に達し、怒りが爆発した。
ためらいなどなかった。

拳が黒木の顔面に炸裂し、黒木は勢いで後ろに倒れ込んだ。

黒木はそんな展開など微塵も予想してなかったんだろう。
全くの無防備だった。

尻餅をついたまま、目を見開き、何か言いたそうに口をパクつかさせた。

しかし、黒木が言葉を発するより速く、俺は上からたたみ掛けるように言葉を浴びせつけた。


「二度と近づくな。娘にも小島先生にも」