わたしのピンクの錠剤

 
「先生、先生・・」

先生の上にうつ伏せに倒れるあいかを抱きかかえた。

「美智子さん、小島美智子さん、聞こえますか」


返事はない。
手を取り、心音を聞こうと先生の胸に耳をあてた。


大丈夫。
心臓も動いてるし、呼吸もしている。


タオルを濡らし、口元に持って行き、軽くしぼった。


唇が動いたような気がした。

そのまま、そのタオルで先生の顔を拭き、絞められた首にあてた。



先生の大きく息を吸う音が聞こえた。

「美智子さん、聞こえますか?」


先生の口元がゆるんだ。

「だ、大丈夫、聞こえてます。・・・あいかちゃんは?」

「ここにいます」


気がついた美智子先生を見て、ほっと胸を撫で下ろした。


万一を考えて、異常がないか喉をそっとさわりながら確かめていった。

「小田さんって、本当は優しい方なんですね」

「ええ、もちろん。・・・痛みはないですか」

「本当に大丈夫です。首を絞められたといっても、女の子の力ですから・・」

「それで先生、何があったんですか」



美智子先生はイスに腰掛け、テーブルに手をついた。