キラリ

それは生まれて初めて目の当たりにした、自分に対する本気の憎悪で

ただただ闇雲に逃げ惑う事しか出来ない私は、あまりに無力であった。



カッターナイフにどの程度の殺傷能力があるのかは知らない。


しかし輝姫に捕まったら最後、私は絶対に殺されてしまうと思った。



雪も風も、益々強い。


手も顔も耳も冷たくて痛いし、胸も苦しいし、脚はフラフラで今にも転びそうである。


元々走るのは苦手だ。



――もう限界かも……。


そう思ったとき、私の脚の骨、関節、筋肉から一斉に力が抜け、バランスを失い……

とうとう、倒れ込むように転んでしまった。


最早立ち上がる事も出来ない。