キラリ

錆び付いた鋼鉄のフェンスが目の前に立ちはだかる。


私はそれに背を向け、迫り来る輝姫を見た。


真っ直ぐ射るような目でこちらを見据え、両手でカッターナイフを構え、全身の力を乗せて振り下ろそうとする

そのときの輝姫の動きが、なぜかスローモーションのように見えた。


――脇によけろ。

という声が耳の奥に聞こえた気がした。


私はその声に従った。



カッターの刃が空を切り、そのはずみで輝姫がよろけた一瞬の隙を突いて

私は今度は、もと来た方向へと走り出す。


輝姫もすぐに体勢を立て直し、再び私を追う。