黒い地面に落ちても良かったが、小さい頃、白線の内側から出てはいけないという遊びをやったように、私もまた、意味なく、点在するナイフを“命綱(道)”と見立てて、この世界を歩いた。


時折、刃先が上を見上げるナイフに出会う。


最初は無視していたが、何度も目につけば気になってしまうのも確か。


行く先にある刃先。これを踏めばどうなることやらと、足を伸ばす。


痛いだろうか?
夢では痛みを感じないというが、前に一度、私は夢で、“痛い思い”をしたことがある。


ひたすらに追われる夢。化け物に掴まり喉を裂かれたさい、私は確かに“痛い”と思った。