「あたし……今佑輔がどうしてこんな顔をしているのか 全然分からないよ。 一緒にいるのに何にも気付けなくてごめんね。 だけど……」 “佑輔が今どう思っているか教えてほしい”という言葉は 勇気が足りなくて、言葉にできなくてのみこんでしまった。 ……もう少しだったのに。 「やっぱだめ。俺からは未紗に教えない」 まるでプイっと効果音がしたかのように 佑輔は玄関のドアの方を向いてしまった。